サイファーと機材

最近、日本中の公園で流行っていることがあるそうだ。今、高齢者社会と名を打つ日本で、公園に散歩に来る高齢者や小さな子供たちに怪我を与えてはならないとばかりに、球技を禁止したり、時間帯を区切って立ち入りを禁止するような理不尽なルールをつける自治体も少なくない。
そんな時代に、密かに「安全」「安心」な、特別迷惑をかけることでもない、音楽的な遊びがあるという。まさにサイファーのことだ。
正直に筆者はそこまでHipHopに精通しているわけではない事を先にお断りした上で、ちょっと昨今のジャパン・ストリートヒップホップ事情を書き綴りたいと思う。
遊びの変遷
前置きでは少々大げさに書いてしまったが、今の小・中学生は「スマホゲーム」に夢中になり、外で遊ぶ子供が少なくなってきているのは事実のようだ。それに加え、冒頭に書いた自治体による独自のルールによって、公園が「人の物」のような、非常に聖域化してしまっているという。
その中で、昨今のヒップホップブームにあやかり、スマホとブルートゥーススピーカーを持った若者たちが、公園で「サイファー」を開催しているという。
なんだ、スマホ持って外で遊ぶだけじゃ変わらんじゃんか、とは思わない。ここでの「スマホ」は音楽を流す単なるツールでしかない。
ご存知の通りサイファーとは、ヒップホップカルチャーシーンで、ビートを流しながら自慢の「ライム」や「ラップスキル」を魅せつけ合う場を示す。俗にフリースタイルとも呼ばれ、ラップバトルのような激しさではなく、ラップを通じた言葉遊びを繰り広げるようなフィールドと言えるだろう。その開催は場所を選ばず、友達同士が気軽に集まれる公園なども好まれているというワケだ。実に良い意味で古臭く、ストリートの匂いをプンプンに感じる。好きだ。俺は好きだ。
光景だけを見ると、なんだか不良グループの集まりが、悪いことをしてるんじゃないかとか思われがちな雰囲気もなくはない。ただそれは見た目だけで物事を捉えるエゴみたいなもので、ただ、各々が楽しんで奏でている「演奏」と取れば、音の大きさを注意する以外に、迷惑に感じることは少ないのだろう。
進化したサイファー
この記事で、サイファーを全国津々浦々に広めるつもりは毛頭ない。私が伝えたいのは、せっかく「ラップ」というカルチャーシーンに興味を持った若者がいるのだから、心から応援したいのと、そのサイファーをもっと楽しくするためのアイテムを少しばかり紹介させて欲しい。
前回投稿した、「効率の良いビートの作り方」という記事でも紹介したが、ヒップホップには「懐古主義」のような古いカルチャーを好む傾向があり、ビートの中身だけではなく、その開催スタイルからも影響を感じられるサイファーも多いようだ。そんなサイファーでもせっかく集まった「機会」ならばもっと充実した内容にしたいと、メンバーは皆思うはずだ。だからこそ、もっと手軽な楽器や機材を駆使して、サイファーを豪華に彩ってほしいというのが考えの一つである。
便利なアイテムを紹介
例えば、楽器や音楽機材を野外で使うことを躊躇う人はどのくらいいるのだろうか。基本的に楽器というものは、ライブを目的として使うことが多く、晴れの日に外に持ち出して使うなんてことは、想定の範囲内であろう。
ただ使うにあたって必要不可欠な電源を供給することは、なかなか公園などでは難しいでしょう。だからこそ、「電池式」「充電式」「バッテリー駆動」などのモデル需要が高まっている。
①サンプラー
先日投稿したSP404の行方という記事で紹介した「SP404」シリーズのサンプラーは皆バッテリー駆動で持ち運びができるため、サイファーなどでこの機種を使っているビートメイカーも少なくない。基本的にSX以降はSDカード(大容量SDHC)が対応なため、長いサンプルのビートや楽曲でも、PADに簡単録音することが可能だ。ポンだしで気軽にビートを流せるように仕込んでおけば、オリジナルのビートサンプルでサイファーを楽しむことができるだろう。この延長線上で、SP404を用いた「ビートライブ」など、ライブハウスを席巻するイベントも最近話題沸騰中だ。
サンプラーの中でも、一際目立っているサンプラーがある。それがAKAI professional社から発売されている「MPC」シリーズ。これを自分が語ると、古参MPCユーザーからお叱りを受けそうなので、なるべく「最高」というに留めておこうと思う。
何と言ってもMPCは自由度の高いもので、SP404SXとは異なり、細かいエディットができる。その分、操作性やコマンド、保存されるファイル階層などの内容を理解していないと、複雑な機能に戸惑ってしまうこともある。往年のMPCと言われるほど、20年近く台頭しているシリーズのため、古参ユーザーほど使いこなしている印象だ。
現在発売されている最新モデル「MPC LIVE」は、バッテリー駆動式のモデルのため、充電をしておけば最大5−6時間の連続稼働が可能という。MPC LIVE内にはコンピューターと同様のCPUを搭載しており、従来のアナログ式とは異なる「タッチパネル」を利用した近未来の使い勝手が特徴だ。
この機種はパソコンを使わなくても、単体でプレイできる「スタンドアロン」タイプのために、この1台だけでMPCの機能のほとんどを使いこなすことが可能だ。
高機能なものを存分に利用し、パソコンを使わずにプレイし、場所をとらない事を重要視するならば間違いなく「MPC LIVE」一択だろう。ただ相当お値段は張るため、高校生などが気軽に買える代物ではない事を申しておく。
AKAI Professional スタンドアローン音楽制作システム・7インチ高解像度マルチタッチディスプレイ MPC Live
- 出版社/メーカー: Akai Professional (アカイプロ)
- 発売日: 2017/07/15
- メディア: エレクトロニクス
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②DJ
サンプラーと似て非なるシステムだが、より多くの楽曲をミックスしながら、ノンストップにビートを繋ぎ合わせることができるDJ。従来親しまれてきた「アナログターンテーブル」、「CDJ」などを気軽に野外で使うことは至難の技。環境的にもまず厳しい。そこで今需要が高まりつつあるのが「PCDJ」という、PC内の楽曲を外部コントローラーで制御するシステムだ。基本的にはPC単体でもソフトさえあれば動いてしまうシステムで、PCDJ専用のコントローラーを用いることによって、擬似的なターンテーブルでのスクラッチ、ミックス、イコライザーなどのエフェクトの挿入を容易に可能とする。
PCDJにはパソコン内の音の出入力を制御する「オーディオインターフェース」の機能を兼ね備えるものから、ほぼ「MIDIコントローラー」として鎮座するものまで、安価なものだと3万円を切る値段で本格的なPCDJコントローラーを購入することが可能だ。
ちなみに上記で紹介しているPCDJ「DDJ-RB」は、パソコンを必須としており、PCDJ単体でプレイすることはできない。使用方法としては、この機種を購入するとついてくるソフト「rekordbox」を立ち上げた上、USBケーブルでコントローラーを繋ぐことでプレイすることができる。
このコントローラー自体は、USBバスパワーに対応しており、別途ACアダプターなどを利用しなくても、PCのバッテリーが続く限り、使用することが可能だ。野外で利用するには、パソコンのバッテリーさえ持続してくれればプレイが可能のため、コンパクトな手軽なDJとしても非常に人気が高い機種だ。
なお筆者は、2014年に発売されたシリーズでソフトがseratoDJ introの「DDJ-SB」を所持しているが、未だ手放せない逸品である。
またもう一つ、とんでもなく手軽なDJシステムがある。正直な話、サイファーで使うなら将来的にも「これ一択」になるかもしれない、本当に最強のDJがある。あくまでも紹介しているDJ機種は、プロが本格的に使うというよりかは、「ちょっとした遊び」を中心に考えているものと分かってほしい。だからといって搭載されている機能は侮れないため、プロでも使用者が多い。だからこそ、これを紹介したい。
Monster GODJ-C ポータブル DJ 機器 バッテリー駆動型 portable stand alone dj system
- 出版社/メーカー: Monster GODJ
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夢のスタンドアロンDJだ。持ち運びにも向いている超コンパクトサイズ。ACアダプター不要。SDカードでプレイリストを作って音源を流すことも可能。もうGODJとスピーカーさえあれば、本格的な野外DJだって可能だ。
開発者が、万が一のトラブル時に代替用のサブDJで使えるって公言しているのだから、内容的にも素晴らしい技術がたっぷり含まれている。ジョグダイヤルが付いていないので、スクラッチを多用するプレイなどには向いていないかもしれない。だが、実に簡潔なインターフェースに視認性の高いスクリーンパネルと、それを動かすタッチパネルシステム。スマホアプリで簡易的なDJを楽しむことも素晴らしいことだと思うが、より「DJらしい」プレイを目指すのであれば、GODJ一択と言っても過言ではないだろう。この価格で、やりたいことがたくさん出来る。唯一無二の逸品だと、私は感じた。
より素晴らしいレビューを記事に起こすには、実際に所持した上でレビューした方がいいかもしれない。筆者もこのGODJを密かに狙っている。
まとめ
今日は長々と紹介記事になってしまったが、自分なりに機材レビューをこれからも続けていきたい。今日は「サイファーで使う機材」をスポットに当ててみたが、これはヒップホップキッズやビートメイカーだけでなく、様々なジャンルの音楽プレイヤーだって、野外でのプレイングを望んでいることであろう。そういう意味では様々な機材に、より興味をもってもらうことも、私の一つの希望である。






