KING of APC40

DAWを操作するには、midiコントローラーなどがあると便利ですよね。ミックスの時、オートメーションを書きたい時、はたまたピアノ譜を打ち込みたい時。様々なシチュエーションでも、USBを一差しするだけで気軽に使えてしまうmidiコンは使い勝手が良く、使わない選択肢がありません。
Ableton Liveの武器
そんなmidiコントローラーですが、DAWソフトAbleton Liveでは、ソフト専用のコントローラー「PUSH」シリーズが発売されています。DAW専用ってかなり珍しいですよね。ProToolsでもLogic Proでも、ソフトを操作するようなAvid製(HD機を除く)・Apple製などを謳う専用コントローラーは中々見かけないですよね。
現行機種PUSH 2では、DAW上に立ち上げたプラグインのパラメーターだったり、セッションビューのクリップの再生、アレンジメントビューへのレコーディングはもちろん、オートメーションを編集したり、シーケンスの構築など、内部機能とシームレスに連動してくれるのです。
Ableton Live 10がまもなく発売になりますし、バージョンアップでPUSH 2の機能もグレードアップするようなので、今から購入しても損はしない超ハイスペックコントローラーであること間違いなしです。
PUSH2の対抗馬
しかしPUSH2は筐体も大きく、お値段も税込8万円前後と気軽に手が出せる値段ではありません。特に我が家のDTMスペースでは奥行きがなく、Native instruments のMASCHINE MIKROを置くので精一杯。とてもPUSH2を置ける場所がありません。
でも、ソフトとシームレスに連動する「専用機」があれば、Abletonの上級的な部分までコントローラーでカバーすることができますから、便利に決まってます。是が非でも手に入れたい。
そんな方にオススメなのが、AKAIから発売されている「APC 40」シリーズです。現行機種はマイナーチェンジされた「APC 40MK2」です。価格は3万5千円前後。
Akai Professional USB MIDIコントローラー Ableton Live Lite付属 APC 40 MKII
- 出版社/メーカー: AKAI
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: エレクトロニクス
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MASCHINE MIKROより一回りほど大きいものの、薄型・横長デザインの本体、クリップ再生のマスが8トラック分、マスタートラックのフェーダーも搭載。セッションビューで使えるA・B DECKをDJのように操作できるクロスフェーダーも備わっており、こちらは制作より「LIVE」や「DJ」などプレイングでも本領を発揮する機材であると言えそうです。Ableton LiveをメインDAWとして使われているユーザーで、クリップローンチを頻繁に使うならマスターコントローラーとして鎮座できる逸品かと思います。
この機種、初代APC40がスマッシュヒットし、初代を使っているユーザーが未だに一定数存在している模様。「MK2より初代の方が使い勝手がいい」なんて声もちらほら。これには理由があるのですが、後述で記載したいと思います。
APC40mk2の長短
まず現行機種APC40MK2について、詳しく書いていきたいと思います。
この機種、当然midiコントローラーというだけあってMacならUSBを挿すだけで使用可能。「Ableton Live」専用に作られているモデルなので、既に各機能にマッピングされています。搭載されている複数のノブは、「USER」設定にてエフェクターデッキなどを操作するために自由にカスタマイズすることもでき、予め仕込みの段階でmidiアサインをしておけば、自分好みの設定で保存することもできます。
Ableton Liveでは、ファイルごとの保存でmidiコントローラーのアサイン設定も一緒に保存されるため、ライブ用に仕込んでおけば、練習と同じ環境をUSBを挿すだけで本番に移行できます。
また、MK2ではバスパワー駆動に対応するようになったため、ACアダプターが必要なくなりました。初代APC40はACアダプター必須のため、持ち運ばなければならない荷物が増えると考えると、mk2の方がプラスに捉える方もいらっしゃることでしょう。
APC40(初代)の存在感
でもなぜ後継機MK2より、初代APC40の方が人気があるのでしょう。もちろん賛否両論ある中で、考えられる理由としては「クリップマスのサイズ」「縦フェーダーのメモリ」の変更点にあるのかもしれません。

MK2ではよりコンパクトに、より簡潔に操作できるよう、ノブの位置が一部変更になっているほか、クリップマスのサイズが正方形から横長の長方形に変更されました。
表示される色はフルカラーに対応し、DAW画面上の色に一番近い色が表示されるようにバージョンアップされておりますが、長方形への変更によりクリップの押し間違えを懸念する声が少数見受けられました。
もう一つがトラックの縦フェーダー軸のメモリが廃止されたこと。今までは一定数のマスメモリが白の横線で引かれており、音量の軸をそれぞれ合わせることができましたが、MK2ではそれが廃止されました。もちろん音量0のメモリには黒い切れ込みが入っておりますが、0以下の数値をそれぞれ合わせるのに、目分量になってしまうのはナンセンス。マスキングテープなどでマーキングを施しているユーザーさんも中にはいらっしゃるようです。
Liveでライブ
またノブの位置変更に伴い、パンニング、センドトラックの操作・ユーザー保存のカスタマイズノブが一つにまとまってしまうため、切り替えが必要になること。設定次第では、シフトキーを押しながらの変更が必要になるため、プレイ時に両手が塞がってしまう事案が発生するようになりました。エフェクターの2個使い「Delay+echo」みたいに、両エフェクトを満遍なく動かしたい場合には、別途Novation Launch Controlなどを持っておくと便利かもしれません。(先日、スタジオで試した際はAPC40mk2とLaunch Controlでうまく操作することができました)
Ableton Liveはエフェクターをデッキでカスタマイズすることができ、一つのパラメーターで任意のエフェクトを複数操作することもできるのですが、ライブプレイングの際、特に空間系エフェクトなどは指でグリグリ回して直感で操作してみたいもの。そんな時は、コントローラーの複数使いもいいかもしれません。
ここまでは主にライブプレイングでつかうAPC40について記載してきましたが、ここからはセッションビューを用いたトラックメイク方法を少しばかり紹介します。
新しいトラックメイク
セッションビューとは、Live使いの人はご存知の通り、「クリップ」を操作しながら音源の構築、再生を行うモードを指します。Ableton Liveについては後日詳しく指南しますので、ここでの詳しい内容紹介は割愛。
セッションビュー上に配置したトラックを、コントローラーで再生しながら「アレンジメントビュー」に録音するといった方法もAPC40だけで簡単に出来ちゃうのです。
APC40は初代・mk2共々、横列8トラック分のセッションビューを操ることができ、それぞれの再生・停止をクリップボタンで操作することができます。これを、セッションレコードボタンを押すことにより、アレンジメントビューに丸ごとレコーディングすることができます。左から順にクリップ1「ドラム」、クリップ2「ウワモノ」、クリップ3「シンセ」、クリップ4「ボーカル」などを、予めオーディオファイル(シーケンスデータ)で仕込んでおき、各々を好みの構成ごとに再生していくだけでOK。
この再生時に、ノブの操作でエフェクトのオートメーションを記録することも可能。マスターフェーダーを下げることで、フェードアウトもすぐに書けます。より直感的に、ライブ感を入れ込んだトラック作りが可能となるので、これに慣れてしまうと「他のDAWが使えない」なんて思えてきちゃいそうです。セッションビューでのトラックメイクなら、構成が音の増減で変化していくような4つ打ちなどのHOUSE MUSIC、テクノ、シンプルな音の構成が特徴なヒップホップなど、様々なジャンルで多用することができるのではないでしょうか。
DJに代わるビートライブ
私がAPC40 MK2を使うのは主にライブプレイングが中心です。セッションビュー上にA DECKとB DECKを設置し、それぞれのクリップに自作曲をどんどん入れていきます。WARP設定でBPMを合わせて、APC40のフェーダーを操りながらリアルタイムミックスでライブパフォーマンスするスタイルです。A/BデッキのみならばAPC40のクリップは2デッキずつでも4トラックほどで収まるため、残りのトラックにはインスゥルメントトラックなどを配置しmidi鍵盤で演奏したり、シンセなどを繋げることもあります。
Ableton Liveは仕込みが「命」とも言われ、その仕込むファイルによってライブの勝敗も決まってくるのですね。だからこそ、このようなコントローラーはマニュアルを入念にチェックし、本番までに使える道具としておかないといけませんから、覚えることが苦手な方にはオススメしません。でもきっと、一度使ってみれば病みつきになる強烈な「直感的操作」に惚れてしまう事、間違いなしだと高らかに宣言させて頂きます。
所感からまとめ
APC40というコントローラーだけを考えれば、シンプルなmidiコントローラーであり、Ableton Liveを所持していなければ使いどころが分からないような、真の専用機のような感覚です。Native instrumentsが内部プラグインNKSを発展させているように、ハードウェアとソフトウェアの統合化が進んでいる昨今のDTM事情の中で、「フェーダーとボタンとノブ」だけをメインとした直感的で遊べる機材は、シンプルに見えて奥が深く感じられました。新製品でもmidiハードとオーディオインターフェースが統合しているモデルも増えてきていますし、midiコントローラー単体での新製品も、そう多くは見られなくなりましたよね。だからこそAPC40がどれだけ考えられたモデルか、ということが分かりますし、決してPUSH 2の廉価版という位置付けではないことを声を大にして言いたい。今回の記事はいつも以上に説明と能書きが多い気がしましたが、それは新しい発見が音楽家の好奇心をそそり続けているからだと思う。
まだまだやりたいことがやりきれていない音楽家は、Ableton Liveを導入してみると世界が変わるかもしれませんよ。私もそうでした。対してミックスもロクにできないのにProToolsしか使わないような頭でっかちでしたけど、「作曲」「ビートメイク」「ラフスケッチ」という3部門だけでも、Ableton Liveを使ってみて考え方が変わりましたから。Liveの話は、別記事でたっぷり書きたいと思います。
Ableton Liveでビートライブをやりたいと考えているあなた、今がチャンスです。
Akai Professional USB MIDIコントローラー Ableton Live Lite付属 APC 40 MKII
- 出版社/メーカー: AKAI
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: エレクトロニクス
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